現在、世界では、ロシアによるウクライナ侵攻が終結しないなかで、新たに大国・アメリカが国際法の秩序を揺るがして引き起こしたイランとの戦争による災禍が重なって、原油流通の混乱と原油価格の高騰が世界経済に大きなマイナスの影響を及ぼしています。
日本でも、物価高騰や石油関連製品の不足などによって人びとの生活と暮らしが不安定になっています。住民の暮らしを最先端で支える自治体には、上下水道などのインフラの老朽化対策をはじめ、人口減少社会・縮減社会に対して「スマートシュリンク(賢く縮む)」へ転換しながら、地域経済と地域社会を維持していく要としての役割を積極的に発揮していくことが求められています。
令和8年(2026年)の初夏、憲法第92条の地方自治の尊厳を重んじて平成13年(2001年)に議決された「合併しない宣言」から 25 周年を迎える福島県矢祭町(やまつりまち)で、節目となる第30回のフォーラムを開催し、新たな気づきと連帯を育む場に集いました。矢祭町は、震災と原発事故という未曾有の困難に直面しながらも、「自立」の精神を旗印に掲げて、一歩ずつ歩みを止めることなく自治の取組に邁進し、文化の町、子育てサポート日本一をめざしています。
今回のフォーラムでは、こうした矢祭町のまちづくりをはじめ、白河地方の市町村の魅力と創造的な取り組みに学ぶとともに、記念講演では、「自治・分権の現在」をテーマに、国の補充的指示権や自治の判断基準などについて考えました。4つの分科会では、それぞれ「『読書の町』で図書館・文化政策を学び語る」、「子育て支援をはじめとした移住・定住対策」、「農業をはじめとした産業振興の取組み」および「地域おこし協力隊の意義と可能性をともに考える」というテーマで学習と交流を深めました。また、シンポジウムでは「地域の輝きをうみだす文化・教育を核にしたまちづくり」をテーマとして、小規模自治体がもつ固有の文化的価値を活かした持続的発展と地域循環型の地域づくりの可能性と展望について語り合い、学び合いました。
現在、政府の地方制度調査会において、将来にわたり地域の特性に応じて持続可能かつ最適な形で行政サービスを提供していくための国・都道府県・市町村間の役割分担のあり方などについて審議されています。これまでの小規模町村の取り組みを維持・発展させ、国や都道府県にはその自治を尊重しながら対等・平等な関係性のなかでしっかりと支援・補完するものであることが求められます。
激動の世界と日本において、小規模自治体は、その優位性を発揮しながら住民の暮らしと地域社会を支えつつ、次世代を育て、食料・エネルギーの自給や田園回帰の流れの中心をなす取組みを進めていきます。
令和8年(2026年)5月15日

